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期間限定の思想 「おじさん」的思考2(内田 樹)

「貨幣の本質って何」(ごくごく)
「運動でしょ」(ぷはー)
という話のあと、
クロマニヨン人の「交換が人間を作った」説、
そして、いろいろあって
「パスを出す」ことが仕事の基本、とおとす。

時事ネタ系の話はもうあまり書かない、
という宣言があるけど
アップトゥーデートなネタの方が、
切れ味があって楽しい。
最近の内田本より、この時期の本の方が面白いのは、
ちょうど書いた年齢が私に近かったから、ということか。
久々に☆3つの本でした。

期間限定の思想  「おじさん」的思考2 (角川文庫)期間限定の思想 「おじさん」的思考2 (角川文庫)
(2011/10/25)
内田 樹

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全体的に軽さの中に哲学的な知見をちりばめた
まさに読む漫画のような文庫本。
期間限定たるゆえんともいえる、時事性が強いネタばかり集めている。
2000年代のエッセイなので、あの時代を懐かしく思い出しながら読みました。

でも、普通に書いてもつまんないので
まずダメ出しからしていきましょう。

4コマ漫画がダメ。
しりあがり寿風のシュールなオチのつもりらしいが
なんというか私の嫌いなヘタウマ系の左手で書いたような絵、
なんとかしてくれぇ。

マンガしか読まない子を持つ親のマンガ擁護論。
ここもダメ。
マンガが文化の一部とか、もう当たり前になっちゃって
今更なにいってんの、2001年の文春のマンガ批判なんて
あったことすらみんな知らない過去の妄言。
逆に今、行き過ぎで文化人のすり寄りが気持ち悪いレベル。
内田師が指摘する「作画力」「構成力」のあるマンガのパワーは
今や韓国に抜かれていると感じる。
すぐれて「字」のメディアであるという点で
シナリオと監修力が編集側にあるか、というところにあると思う。
このエッセイが出た後状況は全く反転している。

では、つぎに「文体が影響されるほどのリーダビリティ」を感じた部分。
『説教値千金』
男女雇用差別裁判で「フェミニズム的な父権性イデオロギー論」に対抗して
「男子社員の社畜化装置」としての未婚女性採用をするバカ企業、という
まったく教授らしからぬ物言いが気持ちいい。

秀逸なフェミニズム批判。
怖いお姉さん、おばさんにここまで言っちゃっていいの?
という、厳しい論戦。
ふ、ふ、ふ…。そう。それが言いたかったのだよ。
上野千鶴子を読んで感じた違和感を解明していただけました。

そして、最も心の琴線にふれ
さらにアルペジオでかき鳴らした部分は『街場の現代思想』。
女子大生と先生の放課後の駄話が繰り広げられる対話編。
「大人になるって、どういうこと」
「ひとはなぜ仕事をするの」
「最適なパートナーって」
「ホントの恋はなぜうまくいかないの」
ズバリ、ズバリと断言しつつ、
打たれたボールはひらりとかわし、
気が付いたらダブルプレーで納得させられる。
この言葉の魔術師のような変幻自在の論調が、
まさにリーダビリティの高さ。
その裏付けが、奥深い。歴史、文学、政治、社会主義、構造主義、
そして専門でもある、仏文学であり、レヴィナス師であり、
空手の多田師範となっている。
例として持ってくるお話が、おじさん臭くない。
村上春樹や岡ひろみを引用したり、
実に語り口がブロークン。
楽しめました。
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