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嘘つきアーニャの真っ赤な真実(米原 万里)

ロシア語通訳でありエッセイストでもある米原万里さんが、
チェコの「プラハ・ソビエト学校」時代の
同級生の消息を尋ねる旅。
「平和と社会主義の諸問題」の事務局という
特殊な環境のなかでの仕事をする親と、
国際情勢の変化の中で、家族も影響を受けていく。

リッツアはギリシャの亡命者の娘。
ギリシャに憧れ、「目がつぶれるような青空」を求めていたのに、
ドイツで医師となっていた。
民族差別の強烈な流れが、
彼女と兄弟たちの運命を残酷に染めていく。

 アーニャはルーマニアの実直な革命家の娘。
あくのでもソ連の立場を守ろうとする姿が痛々しい。
自分を押し曲げて、虚言で自己正当化してゆく
少女のその後の足取りが凄まじい。
鍵となる「黄色いノート」が
兄の亡命先からの贈り物だったことが分かる経過は、
ミステリーを読むような面白さ。

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 角川文庫嘘つきアーニャの真っ赤な真実 角川文庫
(2012/09/01)
米原 万里

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ヤースナはユーゴスラビアから来た少女。
父のパルチザン活動に誇りを持ち、
頭脳明晰で、教師にも媚びない優等生。
浮世絵を愛する彼女が、
ユーゴのワルシャワ条約離脱以降、
ソ連に従わない日本共産党の関係者マリとともに
迫害されてしまう。
だが、ヤースナの本当の悲劇はそれから。
ユーゴの分裂、兄弟で殺し合うような内戦。
家系がムスリムというだけで、
セルビアからボスニアに追われた家族と、
ベオグラードでNATOの空爆にあった家族が
その後どうなったのか知りたくなる。

 「人体のある器官はある条件下で6倍に膨張します」という設問
(正解は瞳孔)と、
それにユーモア交えて切り返すヤースナの機転が素晴らしい。
東欧の激動のなか、たくましく、したたかに生きる
少女たちの姿が驚かされた。

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『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』

米原万里 『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)、読了。 これまで、米原万里という人の背景を、恥ずかしながら何も知りませんでした。 子供時代をプラハで過ごしたというのは何かで読んだ記憶があるのですが、 お父様が共産党幹部でプラハに転勤になられたからなんですね。 そのプラハのソヴィエト学校での同級生との思い出を振り返り、 また、30年後の同級生に会いに行くという趣向の本...

| 観・読・聴・験 備忘録 | 2015/01/07 19:52 |

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