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女中譚(中島京子)

私の好きだった連ドラ「花アン」から1年。
放送中、ずっと感じていた違和感部分。
途中から登場した妹、カフェの女給・モモ、
そして、革命家(?)龍一。
林芙美子、吉屋信子が登場しておきながら、
戦前の闇の部分が全然出てこない。
「きれいごと」ではない世界がチラリとでもあると、
リアリティが違うのにね。

そんな、私のブラックな願望が見事に回収されたのが、
ナカキョーこと、中島京子『女中譚』
3篇のお話はそれぞれ、
『ヒモの手紙』林芙美子の「女中の手紙」。
『すみの話』吉屋信子の「たまの話」。
『文士のはなし』永井荷風の「女中のはなし」。
という当時の流行作家の作品をトリビュートしたもの。

まず、昭和ヒトケタの東京は差別と貧困に満ち、
かつては亀戸も玉の井も娼館地帯の名称だったのだ。
秋葉原のメイド喫茶を舞台にした語りも、
なにか共通するものを感じてしまう。
挿入される日本の反動化への警鐘が
現代の右翼ナショナリズムの復権と見事に一致する。

救いようのない、クズのような男・信作を手引きし
女衒の世界に落とし込む、手伝いをしてしまう主人公・すみ。
美しきドイツ人母とインテリの父に愛され、
女中たまに守られ、幸せなはずが、
皇道派やヒトラーに心酔してしまう、深窓の令嬢・萬里子
戦争で心神喪失となった、かつてのヒモ・信作を
殺したことをトラウマとして抱えたパトロン男。

身も心も壊れてしまった人々が
重なり合い、傷つけあい、傷を癒しあう。
『小さなおうち』のタキさんの時代は
こんな世界でもあったのだ。

女中譚 (朝日文庫)女中譚 (朝日文庫)
(2013/03/07)
中島京子

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